成人の斜視が増加傾向
20歳以上の成人に、
斜視の患者が増えてきているとのこと。
札医大のグループの調査によると、成人(20歳以上)の斜視患者が増加傾向にあることが判明したとのこと。
この調査は、札幌医科大学医学部眼科学講座の、大庭正裕准教授らのグループが行ったものです。
(大庭准教授の専門分野は、弱視斜視、小児眼科、眼瞼疾患とのことです[1]。)
その調査結果によると、札幌医科大学医学部付属病院での成人の手術数が、
・2001年:24例
・2003年:59例
・2007年:78例
と増加しているとのこと。
また、斜視手術における成人の占める割合も、
・2001年:13%
・2003年:32%
・2007年:33%
と、やはり増加しています。
ちなみに札医大病院は、斜視手術例が関東以北では最多だそうですが、他の施設でも成人患者が増加傾向にあるとのことです。
(この調査結果は、7月4日に東京で開催された「第64回日本弱視斜視学会」で発表されたそうです。)
(参考)
・北海道新聞2008年7月4日朝刊
・増える大人の斜視 パソコン、携帯画面誘因?(生活 北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/102863.html
・日本眼科学会:関連学会予定表(2008年7月)
http://www.nichigan.or.jp/member/syukai/2008/0807.jsp
・[1]札幌医科大学附属病院 〜眼 科〜
http://web.sapmed.ac.jp/byoin/shinrou/sinryou09.html
物を見る際、片側の目は目標に正しく向いているが、もう片側の目が、見る目標と異なる方向(外側や内側、上や下)を向いてしまうのが「斜視」と呼ばれる状態です。
この斜視は、従来は子供の病気とみられてきましたが、調査によると、近年は20歳以上の患者が増加しているとのこと。
調査を行った札幌医科大学の大庭准教授らによると、成人に斜視患者が増えている要因の一つとして、近年のパソコン・携帯電話利用の増加により、目を酷使する環境が増えていることが考えられるそうです。
大人になり、パソコンや携帯電話などの画面を頻繁に見るようになったことで、潜在的に存在していた斜視が出てきたのではないか、とのこと。
(一般的な斜視の原因としては、外傷や、乳幼児期の弱視・強度の近視や遠視による、目の筋肉バランスの崩れが挙げられているようです[1]。)
また大庭准教授らは、2007年までに斜視の治療手術を受けた成人患者78人(20歳〜79歳)について、手術前後の視機能・生活の変化を調査したそうです。。
(参考)
・北海道新聞2008年7月4日朝刊
・増える大人の斜視 パソコン、携帯画面誘因?(生活 北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/102863.html
・日本眼科学会:目の病気 子供の斜視
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_kodomo.jsp
・[1]斜視 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%9C%E8%A6%96
札医大の大庭准教授らは、2007年までに斜視の治療手術を受けた成人患者78人(20歳〜79歳)について、手術前後の視機能・生活の変化を調査したそうです。
その調査結果によると、両眼視機能はあるものの、斜視のために片目で物を見ていた人が49人。
そのうち38人が、手術によって両眼視機能が回復したとのことです。
(同時に、車の運転が楽になったり、目の疲れ・頭痛・肩こりの解消といった感想もあったそうです。)
また、調査対象の78人の中で29人は、もともと両眼視機能が無かったとのこと。
この方々の場合、斜視手術でも、両眼視機能を正常にすることはできなかったそうです。
しかし目の位置が改善されたことで、9割以上の方が「精神的に楽になった」と回答したとのことです。
これらの結果から、大庭准教授らは、両眼視機能の有無に関わらず、斜視の手術による治療は効果が期待できる、としています。
(参考)
・北海道新聞2008年7月7日朝刊21面