カニ殻のキトサンから骨を再生

かにの殻に含まれるキトサンを用いて、
人間の骨を再生する技術が
開発されたとのこと。

カニの殻から人の骨を再生

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北海道大学や北海道曹達などで構成される研究グループが、カニの甲羅に含まれる物質「キトサン」を用いて、人間の骨を再生する技術を開発したとのことです。

この研究では、北海道産のカニ殻から抽出したキトサンを、ハイドロキシアパタイト結晶と合成し、さらに骨の再生を促進するたんぱく質を加えて、ラットの皮膚に投与。
(※ハイドロキシアパタイト(水酸燐灰石)は、人間の骨の主成分。)

その結果、4週間後に、ラットの皮膚に骨が形成されたとのことです。

また、キトサンとハイドロキシアパタイトを合成した物質は、細胞の動きを制御する機能も持っているとのこと。
そのため、骨の再生と同時に、がん細胞を抑制する効果も期待できるそうです。

ちなみにカニから抽出したキトサンは、神経細胞の培養にも利用されています[1]。


(参考)
・北海道新聞2008年7月14日朝刊1面
・カニ殻でヒトの骨再生 北大など新技術を開発 歯周病、がん治療に有効(環境・自然・科学 北海道新聞)
 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/104782.html
・キトサン - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%88%E3%82%B5%E3%83%B3
・燐灰石 - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%87%90%E7%81%B0%E7%9F%B3
・北海道曹達株式会社
 http://www.hokkaido-soda.co.jp/
・北海道大学 遺伝子病制御研究所 癌関連遺伝子分野
 http://www.med.hokudai.ac.jp/~c-cell-w/staff.htm
・ReaD 研究者(詳細情報)
 http://read.jst.go.jp/public/cs_ksh_008EventAction.do?action4=event&lang_act4=J&judge_act4=2&knkysh_name_code=1000000902
・別紙1:産学共同シーズイノベーション化事業顕在化ステージ平成18年度第2回公募受付 採択課題一覧
 http://www.jst.go.jp/pr/info/info342/besshi1.html
・[1]北海道曹達株式会社>製品・事業情報>一般塩取扱
 http://www.hokkaido-soda.co.jp/products/chitosan.htm


骨再生技術の可能性

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例えば歯周病などで歯を失った場合、歯の周囲の骨である「歯槽骨」が細くなり、咀嚼する能力が低下するとのこと。

また歯槽骨が細くなると、義歯やインプラントを埋めることが困難になり、現在のところその治療には、患者本人の骨(腸骨や下あごなどから採取)を歯槽骨に埋め込んで再生を促進する、自家骨移植しか方法がないそうです。

今回開発されたカニ殻から人の骨を再生する技術が実用化されれば、自家骨移植をせずに歯槽骨を再生することが可能になるとのことです。

またこの技術は、歯槽骨の再生に限らず、骨のがんの治療にも適用が考えられています。

この再生技術で用いられる、キトサンとハイドロキシアパタイト結晶の合成物質には、細胞の働きをコントロールする機能があることから、抗がん剤とこの再生技術を組み合わせることで、骨にできた癌を攻撃し、かつ癌の再発を防止しつつ骨を再生する技術の実現も考えられるとのこと。

このキトサンによる骨再生技術を開発した研究グループでは、2010年を目途に、同技術の実用化を目指すとのことです。


(参考)
・北海道新聞2008年7月14日朝刊1面
・歯槽骨 - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%AF%E6%A7%BD%E9%AA%A8
・インプラントと自家骨移植 : 大分県 : 大分市 : マツモト歯科クリニック
 http://blog.matsumoto-shika.jp/archives/000716.html
・GBRと自家骨移植 - メデントニュース
 http://www.medento.com/adiary/adiary.cgi/medento/07
・米国発ニュース (8/4)体内で自家骨組織を再生(いきいき健康 NIKKEI NET)
 http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20050804hj001hj


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