ボトックスの副作用

ボトックス注射による
副作用、死亡例などのメモ。


ボトックスの副作用による死亡例

米国の有力な消費者団体「パブリック・シティズン」が2008年1月24日に、ボツリヌス菌毒素の注射薬の使用により、重大な副作用(死者16人など)が発生しているとして、米食品医薬品局(FDA)に対し医師・患者に警告を出すよう要請した、と発表したとのことです。

その対象になった薬は

  • ボトックスBotox)」(米Allergen社)
  • マイオブロックMyobloc)」(※Solstice Neurosciences社の製品と思われる[1])
の2つ。

「パブリック・シティズン」によると、各メーカーがFDAに自主的に提出した報告書において、副作用について下記内容の記載があった模様。

  • 米国内での副作用例は、1997年11月から2006年末までで、658件。
    (そのうち180件は、ものがのみ込みにくくなる障害や肺炎などの呼吸器関係
  • 入院したのは87人、ボトックスで12人、マイオブロックで4人が、注射後に呼吸器の障害で死亡。
    (ボトックスの少なくとも1件は、美容目的の注射)

この件について、ボトックスの製造元であるアラガン社は、

  • 「患者自身の神経的な病状やリスク要因が重大な結果をもたらすことがあり、必ずしもボトックスと因果関係があるわけではない。過去17年間で重大な副作用は極めてまれだ」
とコメントしているとのことです。

またFDAは、ロイター通信によると、「要請の内容を検討してからコメントする」としているとのこと。

(参考)

  • 美容注射で死者、米消費者団体が警告 - 社会ニュース : nikkansports.com
    http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20080125-311824.html
  • ボトックス注射(知っておきたいリスクと効果)|美容外科を取材するライター、編集者のための情報箱
    http://botox.e-facelift.com/index.html
  • [1]BioToday - アルファベット[ S ]で始まる企業名一覧(「BioToday - 医学、病気、健康、バイオベンチャー関連ニュースのデータベース」内)
    http://www.biotoday.com/bioventures.cfm?CNE=S


ボトックスの副作用

ボトックス注射の一般的な副作用については、例えば[1][2][3]に、下記の可能性が挙げられています。
  • 頭痛
    まれに、額のボトックス注射を行った数時間後に頭痛が起こることがある、数時間で治まるとのこと。
  • 瞼の垂れ下がり
    眉間など目の周辺に注射した場合、瞼の垂れ下がりが起こる可能性がある。
    (※医師の経験・技術にもよる)
  • なみだ目目の乾燥、また目が赤くなったり目を閉じるのが困難になる症状
  • 表情の変化
    ボトックス注射によって、顔の表情をコントロールする筋肉の働きを一部抑制するため、以前と表情が変化する可能性がある。
  • 顔面の一時的なまひ
  • 嚥下障害:ボトックス注入部位による。
  • 頸部の筋肉の脱力感
  • ボトックス注射時痛み
    強烈な痛みを感じる人もいれば、普通の注射と同程度の痛みという人もいる。
    これは、注射を行う箇所や注入する量、また医師の経験・技術にもよる部分がある。
  • 注射した箇所の内出血
    注射の針が毛細血管を傷つけ、内出血を起こす場合がある。
  • 注射の跡
    注射針の跡が点状に残ることがあるが、通常は2〜3日で改善するとのこと。
  • ボトックス注入時の感染症
  • アレルギー反応
    ただし、ボトックスが他の医薬品よりもアレルギーを起こしやすい、というわけでは無いそうです。
  • アナフィラキシー様の症状
  • 麻酔によるアレルギー反応・ショック症状
  • 吐き気インフルエンザ症候群
  • 急な血圧低下
  • 倦怠感

ちなみに、ボトックスの製造元である米アラガン社の資料では、眉間のシワ治療にボトックスが使用される際の、最も一般的な副作用とその割合は、次のように示されているとのこと[2]。

  • 頭痛(13.3%)
  • 呼吸器感染(3.5%)
  • 瞼の下垂(3.2%)
  • 吐き気(3.0%)
  • インフルエンザ症候群(2.0%)

(参考)

  • [1]ボトックスとは?塗るボトックスとは?(「アンチエイジング化粧品のBeauty Bank」内)
    http://beauty-bank.net/products/botox1.html
  • [2]ボトックス注射|副作用とリスク(「ボトックス注射(知っておきたいリスクと効果)|美容外科を取材するライター、編集者のための情報箱」内)
    http://botox.e-facelift.com/data/risk.html
  • [3]ボトックスの副作用:マグノリア皮膚科クリニック
    http://www.mg-clinic.com/botox/s_effects.html

ボトックスの副作用の事例

日本でのボトックスの副作用の事例として、例えば下記内容の記述があります。(※いずれも患者名は匿名)
  • 片側顔面けいれんの治療のためにボトックス注射を行ったところ、翌日から気分が悪くなり、また呼吸が荒くなって、立ち上がれなくなったため救急車で病院へ搬送され(その日のうちに帰宅)、その翌日から39度の高熱が2日間続いた。[1]
  • 美容外科医院でわきがの治療のため脇の下へのボトックス注射を行ったところ、2週間ほど経過した頃から、脇が熱くなったり、腕に辛い感じが生じた。[2]

美容目的のボトックス注射で使用されるボトックスの量は、2.5〜100単位とかなりの少量[3]とはいえ、副作用が起こる可能性は、注射を受ける人の体質・免疫力・体力などに依るものであり、ゼロでは無いとのことです[4]。

(参考)

  • [1]ボトックス注射の副作用について - 教えて!goo
    http://oshiete1.goo.ne.jp/qa3198313.html
  • [2]ボトックス注入による多汗症治療の問題点(「わきが多汗症研究所」内)
    http://www.wakiga.jpn.org/oldlog2/lg0311.html
  • [3]ボトックスの副作用:マグノリア皮膚科クリニック
    http://www.mg-clinic.com/botox/s_effects.html
  • [4]ボトックス注射|副作用とリスク(「ボトックス注射(知っておきたいリスクと効果)|美容外科を取材するライター、編集者のための情報箱」内)
    http://botox.e-facelift.com/data/risk.html

ボトックス(Botox)とは

(スポンサード リンク)
ボトックスBotox)は米アラガン社製の注射薬で、ボツリヌス菌(Clostridium Botulinum)によって産生される猛毒の一つ「A型ボツリヌス毒素」を有効成分としており、

  • 眼瞼痙攣斜視などの治療
  • 美容(シワをできなくする等)
を目的に注射することで、一時的に筋肉の働きをブロックするもの。

美容目的においては、表情の変化で起こる

  • 目尻の笑いジワ
  • 眉間の縦じわ
  • 額の横ジワ
等の原因となる表情筋の動き・緊張をコントロールするため、適切な箇所に適切な量のボトックスを注射し、筋肉を動かすために必要な神経伝達物質「アセチルコリン」の放出を止めて、表情筋の働きを弱めるとのこと。

他にはわきがの治療にも、ボトックスは使用されています。

ただし、注射の効果は永続的なものではなく、効果を持続したい場合は定期的な注射が必要であり、その効果の維持期間は数ヶ月程度、わきがの場合は半年くらいだそうです。


この注射薬「ボトックス」は、元々は神経学上の症状(眼瞼痙攣や斜視など)を改善するための治療製剤として、1989FDA(米国食品医薬品局)の承認を受けたもの。

美容目的での使用は、その効果を転用したものでしたが、FDAが20024に、18歳〜65歳の眉間のシワ治療薬としてボトックスを承認してから、美容目的での使用が大幅に増えたそうです。

また、ボトックスは汗の調節をコントロールする自律神経にも作用することから、2004には脇の多汗症の治療への使用が、FDAで認可されたとのことです。


日本に入ってきたのは19974ですが、あくまで眼瞼痙攣などの症状を治療するための傷病治療薬としてであり、現在でも日本では、美容目的の使用が認められていないとのこと。

そのため、日本の製薬会社はボトックスを販売しているものの、美容目的の場合は用途が異なるため、医師の個人輸入という形式で、米国等から入手しているのが現状だそうです。

美容目的で使用されるボトックスは、正式な「Botox」よりも含有蛋白量などを少なくすることで抗原性を低め、アレルギー反応などを起こりにくくした「Botox Cosmetics」という製品[1]。

いっぽう正式な「Botox」は、

  • 眼輪筋の痙攣
  • 首などがこわばる病気(ジストニー)
といった病気に対して使用されているとのことです。

また、ボツリヌス菌は食中毒の原因としても知られていますが、ボツリヌス毒素で食中毒を起こすには3万単位程度の量が必要。
一方、美容に使用されるボトックスの量は2.5〜100単位程度なので、中毒を起こす危険性は少ないとのこと[2]。


ボトックス注射が不可能なケースには

  • 妊婦授乳中の人
    (※術後も半年は、妊娠を避けた方が良い)
  • ボトックス製剤中の成分にアレルギーを持つ人
  • 筋弛緩剤または筋弛緩作用のある薬を服用している人
が該当[3]。

また注射後の禁止事項としては、注射を行った当日

  • 長時間の入浴・サウナ
  • マッサージ
  • 飲酒
を行うことは、注射した箇所に内出血・腫れを起こしたり、赤みが増す場合があるので、禁止されています[3]。

その他にも、ボトックス注射の後すぐに横になったりマッサージを行なった場合は、ボトックスが注射箇所の周囲に拡散してしまい、目的通りの効果にならないことがあるので、ボトックス注射を行った後4時間は、横になったりマッサージをしてはならないとのことです[2]。

(参考)

  • ボトックス注射(知っておきたいリスクと効果)|美容外科を取材するライター、編集者のための情報箱
    http://botox.e-facelift.com/index.html
  • [1]美容整形のプラザクリニック(東京)/美容外科・美容皮膚科・形成外科/プチ整形/ボトックス
    http://www.plazaclinic.jp/index-3.html
  • [2]ボトックスの副作用:マグノリア皮膚科クリニック
    http://www.mg-clinic.com/botox/s_effects.html
  • [3]ボトックスとは?塗るボトックスとは?(「アンチエイジング化粧品のBeauty Bank」内)
    http://beauty-bank.net/products/botox1.html

マイオブロック(Myobloc)とは

(スポンサード リンク)
ボトックス以外のボツリヌス菌毒素製剤は複数あり、その一つが「Myobloc」。

このマイオブロックは[1]の記述から、Solstice Neurosciences(ソルスティス・ニューロサイエンシズ)社の製品だと思われます。

ボトックス以外のボツリヌス菌毒素製剤には、

  • 「Dysport」(英Ipsen社)
  • 「Neuronox」(韓国Medy-Tox社)
  • 「BTX-A」(中国Lanzhou社)
といった製品がありますが、これらはボトックスと同様のA型ボツリヌス菌毒素。

一方マイオブロックは、それらと異なりB型の毒素であり、特徴として

  • A型毒素の製剤に抗体ができた人でも、効果がある
  • マイオブロックでは注射した翌日には効果が出る
    (※ボトックスでは注射した2〜3日後)
との点があるとのこと。

またこのマイオブロックは、FDA(米食品医薬品局)の認可は美容目的以外で得ているとのことです。

ちなみに、筋弛緩薬の「ミオブロック(Mioblock)」[2]という薬剤がありますが、これと「マイオブロック(Myobloc)」の関係は確認できませんでした。

(参考)

  • 美容整形のプラザクリニック(東京)/美容外科・美容皮膚科・形成外科/プチ整形/ボトックス
    http://www.plazaclinic.jp/index-3.html
  • [1]BioToday - アルファベット[ S ]で始まる企業名一覧
    http://www.biotoday.com/bioventures.cfm?CNE=S
  • [2]筋弛緩薬と拮抗薬(「勤医協 麻酔科研修の手引き」内)
    http://www.geocities.co.jp/Colosseum-Acropolis/6786/Muscle.html
  • ボトックスなどで死者16名、入院87名 - 緩和ケア医の日々所感
    http://blog.goo.ne.jp/e3693/e/2d6e6a24afb9b921d597ef26a2a58501

管理人のつぶやき


    inserted by FC2 system