養殖ヒメマスの肉の赤みが向上
北海道の養殖業者が、
これまで色の薄かった養殖ヒメマスで、
天然物と同等の肉の赤みを
実現したとのことです。
北海道・後志管内古平町の養殖業者「野村養殖場」[4]が、従来は肉の色が薄かった養殖ヒメマス(北海道ではチップとも呼ばれる[3])で、天然物と遜色無い肉の赤みを実現したとのこと[1][2]。
市販の配合飼料や添加物を用いて育てられる養殖ヒメマスは、天然ヒメマス(動物性プランクトンを食べる)に比べ、ヒメマス独特の肉の赤みに乏しく、養殖においてこの課題を克服するのは困難、と考えられてきたそうです。
数十年にわたり、ヒメマスの養殖を手がけてきた野村養殖場では今回、首都圏の一流レストランでも通用する養殖ヒメマスの育成を実現するため、数年前からエサの改良など、北海道立水産孵化場[6]のアドバイスを受けつつ、試行錯誤を重ねてきたとのこと。
その結果、2009年春から、
- エサに甲殻類のオキアミを与える
- 水質管理を工夫
といった取り組みを行なったところ、育てたヒメマスの肉に、天然物に匹敵する鮮やかな赤みが出てきたとのことです。
新聞記事[1][2]では、野村養殖場・3代目の野村佳寿氏の
- (養殖ヒメマスの出荷ピークを迎えた2009年夏は)「甘さも増し、魚体の成育も申し分ない自信作に仕上がった」
- 「この夏は寒暖差の著しい天候が続き、水質管理に神経を使ったが、エサの改良が好結果を生み、養殖を続ける展望が開けた。小ぶりでも色合いがよいので、ホテルやレストランなどでもメニューの幅が広がると思う」
また、道立水産孵化場・養殖病理部長の小出展久氏(餌の改良等の助言を行なった)の
- 「(養殖物は)色のりに難があったが、とてもよい色上がり」
との談話が紹介されています。
ちなみにこの養殖ヒメマスについては、今後、
- 色彩色素計による、目視では判別できない色ののり具合の分析
- 魚体の成長に関する定期調査
が行なわれるそうです。
どのような条件でヒメマスの肉の色が変化するのか、また天然物に匹敵する赤みの実現のためにどのような努力が行なわれてきたのか、素人の私には想像もつきませんが、自然の状態を人工的な飼育で再現することの難しさは、今回のニュースから、強く感じられる気がします。
記事内の野村佳寿氏のコメントの通り、今回の取り組みによって、養殖ヒメマス(チップ)の魅力が増すことも、間違い無いのではないでしょうか。
ちなみに今回、野村養殖場の紹介ページ[5]を見て、自然の真っ只中という感じの養殖環境に、息を呑む思いがしました。
- [1]養殖ヒメマス 赤み増す エサ、水質工夫 天然者に匹敵 古平の業者
- (北海道新聞2009年8月12日(水)朝刊1面記事)
- [2]養殖ヒメマス 赤み増す エサ、水質工夫天然物に匹敵 古平の業者−北海道新聞[農林水産]
- http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/182306_all.html
- [3]ヒメマス - Wikipedia
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%A1%E3%83%9E%E3%82%B9
- [4]北海道産姫鱒(チップ)の野村養殖場へようこそ
- http://www.ne.jp/asahi/himemasu/hokkaido/
- [5]野村養殖場紹介
- http://www.ne.jp/asahi/himemasu/hokkaido/syokai.html
- [6]北海道立水産孵化場
- http://www.fishexp.pref.hokkaido.jp/hatch/honjou/Index.htm
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