水と酸素

水素と酸素の化学反応や
高濃度酸素水、脱酸素装置、酸素溶解装置など、
水と酸素の関係について。

  

水素と酸素の関係

水素と酸素の関係として思いつきやすいことに、気体の水素と酸素を混ぜて火をつけると水が生成される、という、下記の化学反応式で表現される化学反応があります。

化学反応式:2H2+O2→2H2O

またその逆に、水にアノード(陽極)とカソード(陰極)の電極を入れて電圧をかけると、水が電気分解され、アノード(陽極)に酸素、カソード(陰極)に水素が生成される、という反応も有名でしょう。(下記の化学反応式。)

アノード(陽極):電子を放出する酸化反応
2H2O→O2+4H++4e-

カソード(陰極):電子を受けとる還元反応
4H2O+4e-→2H2+4OH-

また、これらをまとめた形で、下記の式でも表されます。

2H2O→2H2+O2

この水の電気分解の逆反応を利用して、水素と酸素から電力を取り出す「燃料電池」の開発が近年進められており、クリーンなエネルギー源として期待を集めていますが、電気自動車・燃料電池車などに実用化されるまでには、小型化やコストなど、課題はまだまだ多いようです。

参考:
電気分解 - Wikipedia
燃料電池 - Wikipedia
水素の燃焼
 http://www3.u-toyama.ac.jp/kihara/chem/fire/H2O.html
燃えるもの
 http://www3.u-toyama.ac.jp/kihara/chem/fire/Ea.html

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水素と酸素から水を作る

水素と酸素から水を作る場合、一般的にも知られているのが下記の化学反応式です。

2H2+O2→2H2O

これは、水素を燃焼させて酸素と化合させ、化合物である水を生成する反応ですが、ただ水素と酸素を混合しただけで、この化学反応が起こるわけではありません。
(常温では、水素と酸素が化合する反応が起こるスピードは、極めて遅い。)
この反応を起こすためには、外から火をつけてやるなどして、反応に必要な「活性化エネルギー」を与えてやる必要があります。
分子に高いエネルギーを与えることで、燃焼というかたちで、水が作られる反応が急激に進む、ということです。

参考:
水素の燃焼
 http://www3.u-toyama.ac.jp/kihara/chem/fire/H2O.html
燃えるもの
 http://www3.u-toyama.ac.jp/kihara/chem/fire/Ea.html

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水に溶けている酸素を追い出す

水に溶けている酸素を追い出すことで、防錆を目的とした脱酸素装置や脱酸素材が開発・利用されています。
水の溶存酸素を取り除くことで、鉄の腐食を起こすアノード反応・カソード反応を防止し、防錆効果が得られるとのことで、例えばボイラーやプラント、ラジエーターなどで用いる水で、このような脱酸素処理が行われています。
(ただし脱酸素材を水に溶かした場合、その成分に毒性がある場合もあるので、脱酸素材の使用は、用途が限定されるようです。)

同じ水と酸素の関係でも、水が用いられる状況・用途に応じて、酸素を水に溶かすための「高濃度酸素溶解装置」がある一方で、このように水に溶けている酸素を追い出す手段もあるというのが、非常に興味深く感じられます。

参考:
流量計の東フロコーポレーション -脱酸素装置-risα
 http://www.tofco.jp/product/ris.html
ファンクショナル・フルイッド
 http://www.functional-fluids.co.jp/pge/jp/hea-04nsp-01.htm
サビの雑学 電食 腐食 サビない水 防錆
 http://www.toho-seiki.com/info05_b.htm

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酸素水とは

最近市販されている酸素水は、高濃度酸素水や酸素強化水とも呼ばれるもので、普通の空気中に置かれた水に比べ、(通常のミネラル水に)より多量の酸素が溶かし込まれている水です。
通常、空気中に置かれた水には、(平衡状態、20℃で)約9.3mg/Lの酸素が溶解しています。
一方、市販の酸素水では、その5〜30倍程度の酸素を含んでいるそうです。
この酸素水の用途は、主に飲料用と化粧水用となっています。
酸素水が注目されている背景には、酸素が体に良いというイメージ(酸素バーの流行など)が広まっていることがあるようです。
酸素水の宣伝文には、酸素水を飲んで酸素を体に供給することで、ストレス等が原因で生じている細胞の酸素不足を解消し、慢性疲労の回復、美容(ダイエットなど)、健康維持、スポーツに効果がある、と主張がされていることがあります。
※ただし、このような効能を宣伝文に記述して販売を行うことは、薬事法違反のおそれもあるそうです。
そのため、酸素水の販売者によっては、効能などを主張せず、単なる高級なミネラルウォーターとして販売していることもあります。
一方で酸素水が、実際に健康・美容などに効果があるかどうかについては、疑問も少なくないようです。
というのは、酸素はもともと水に溶けにくい気体です。
また、通常の30倍の酸素(20℃で約280mg/L)が溶解している酸素水でも、1Lあたりに含まれる酸素量は、安静にしているときに、10回ほど呼吸して体内に吸収される酸素量でしかないとのこと。
加えて、酸素が、呼吸器ではない皮膚や消化器から、実際にどの程度身体に吸収され、体内で有効に利用されるのかについては、定かではありません。
例えば下記アドレス先のページでは、酸素水の摂取で運動能力に変化が現れるかどうかについて、6つの文献を示していますが、いずれも酸素水が有効な効果を示しているとはいえない内容となっています。

「健康食品」の安全性・有効性情報
 http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail822.html

参考:
高濃度酸素水 - Wikipedia
酸素水とは ─ 意味・用語(「オーガニック・ロハスカフェ/レストランガイド:きのまま」内ページ)
 http://www.kinomama.jp/lohas/yogo/2006/06/post_3251.html

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酸素を水に溶かす

飲用としての酸素水(高濃度酸素水、酸素強化水)は、通常の水よりも多くの酸素を溶け込ませており、飲むことで酸素をよりおおく吸収できるので、美容や健康・スポーツなどに効果がある、と言われていますが、他方、その効果はまだ明確に実証されているとは言えず、むしろ実験結果から懐疑的な意見も出されています。

このような飲用の酸素水とは別に、好気性微生物の活動を活発にし、河川や湖、また食品・化学工業などにおいて発生する汚泥の分解・除去を目的とした「酸素溶解装置」が、複数の企業で開発・販売されています。
これらの装置は、曝気(水に空気を送り込んで酸素を溶かす方法で、エアレーションとも呼ばれる)などの方法を用いて、水に通常よりも高濃度の酸素を溶かし、水中のDO(溶存酸素)の量を増やします。
この高濃度の酸素水を水底に送ることで、好気性微生物の活動を促して、汚泥の分解・除去を促進し、水質を浄化するものです。

より身近な例だと、例えば水槽で金魚などを飼っているとき、水槽内の水のDO(溶存酸素)が少なくなると、水の中を下から上に上がってきたり、ひどいときには死んだりしてしまうそうです。
(そのために、エアーポンプで水槽の水に空気を送り、酸素を溶かし込みます。)
水中の生物にとっては、水に溶けている酸素の量は、その活発さや生死に深く関わっている重要な要素である、ということが改めて感じられます。

参考:
高濃度酸素溶解装置 - 巴商会
 http://www.tomoeshokai.co.jp/show/non_bubble.html
スリムテクノ有限会社「汚泥に関する専門用語解説」
 http://www18.ocn.ne.jp/~slimtec/b008.html
高濃度溶存酸素活性汚泥処理システム
 http://www.kyowa-ctc.co.jp/o2-odeisyori.html
溶存酸素編(「@Pure Weter」内ページ)
 http://www.taropi.com/menu_o2.htm

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