廃棄用農産物の家畜飼料化が北海道十勝で進む

規格外農産物や農業廃棄物を
家畜の飼料にする取り組み「エコフィード」が、
輸入飼料の価格高騰を背景に、
北海道十勝管内で進められているそうです。

規格外ニンジンのサイレージ化

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新聞記事[1]によると、北海道十勝管内では、廃棄される農産物などを家畜飼料に活用する「エコフィード」が、注目されているそうです。

例えば、北海道帯広市の酪農家の方が設立した企業「十勝ライブストックマネージメント」では、2007年夏から、規格外ニンジン(傷ついたり欠けたりしているもの)を乳酸発酵により、サイレージ(発酵飼料)化する事業を開始。

規格外ニンジンは、従来は肥料にされることが多かったですが、「十勝ライブストックマネージメント」では牧草と一緒に大型ミキサーで砕き、1日80トンのサイレージを作り、十勝管内の酪農家に販売しています。

同社の設立者による試算では、このサイレージを従来の輸入配合飼料の代替品にすることで、家畜飼料の多くを購入している酪農家では、飼料にかかる費用を半分近くまで圧縮できるとのことです。

また、2007年11月からニンジンサイレージを購入・活用している酪農家の方(牧草・配合飼料を減らし、1頭1日あたり5kgのニンジンサイレージを、乳牛21頭に与えている)によると、1頭1日あたりの餌代が200円削減され、かつ乳量は5%増加したそうです。

またこの酪農家の方によると、ニンジンサイレージは、通常の輸入とうもろこしサイレージよりも栄養分が豊富で、乳牛も好んで食べている、とのことです。

このニンジンサイレージは、単純に廃棄農産物の有効利用というだけでなく、作られる飼料も価格・品質の面で優れているようで、非常に優れた取り組みに感じられます。


(参考)
・[1]北海道新聞2008年10月19日(日)朝刊2面記事「土森海 規格外ニンジンのサイレージ化 急増 輸入飼料高騰 廃棄農産物に光 十勝の酪農家 安さが魅力 乳量も増加」
・十勝メールドットコム [ 帯広市めーる ]
 http://www.tokachimail.com/obihiro/030120index.html
・地域の農産副産物(エコフィード)の畜産利用研修会を家畜改良セン(※PDFファイル)
 http://www.nlbc.go.jp/press/080815press-tokachi.pdf


澱粉かすも家畜飼料に

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新聞記事[1]によると、北海道十勝管内では、ニンジンサイレージの他にも、でんぷん工場から出る廃棄物「でんぷんかす」を、畜産農家が飼料に活用する動きが出てきているそうです。

「南十勝農工連合理化澱粉工場」では、毎年秋には約1万トンの澱粉かすが発生しており、従来は澱粉の原料であるジャガイモの出荷者が、引き取って肥料などにしていたとのこと。

しかし、輸入飼料の価格高騰を背景として、2007年からは畜産農家が、このでんぷんかすを引き取って輸入配合飼料の替わりに使い始めており、2008年は全てのでんぷんかすが引き取られているそうです。

この澱粉かすは、「南十勝農工連合理化澱粉工場」を構成する十勝南部の7つの農協の組合員には、無料配布されているとのこと。

また、組合員以外にも、1トンあたり100円で販売されているそうです。

でんぷんかす飼料として購入するにしても、1トン100円というのは、破格の安さではないでしょうか?

ただ、澱粉かすの家畜用飼料としての品質(栄養分の豊富さなど)がどの程度のものなのかが、知りたいところです。


(参考)
・[1]北海道新聞2008年10月19日(日)朝刊2面記事「土森海 規格外ニンジンのサイレージ化 急増 輸入飼料高騰 廃棄農産物に光 十勝の酪農家 安さが魅力 乳量も増加」
・ALIC ばれいしょでん粉工場の安定的経営に向けた取組〜東部十勝農工連澱粉工場・士幌町農協澱粉工場の事例〜
 http://alic.lin.go.jp/starch/japan/report/200808-02.html


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