ライムケーキから作った消石灰で
ごみ焼却炉の有害物質を高率除去

ビート(てんさい)製糖時の廃棄物
「ライムケーキ」から作った消石灰が、
ごみ焼却炉から出る有害物質を
高い確率で除去できるとのこと。

ライムケーキ製消石灰は酸性ガス吸着率が高い

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北海道立工業試験場と北海道共同石灰(株)の共同研究グループが、ビート(てんさい)から砂糖を作るときに出る産業廃棄物「ライムケーキ」から、ごみ焼却場の排煙から有害物質を従来より高い確率で除去できる消石灰を開発したとのことです。

この消石灰は、炭酸カルシウム汚泥であるライムケーキを800度で約20分間燃焼し、できた生石灰に一定量の水を混ぜることで作られるとのこと。

この方法で作られた消石灰は、市販の有害物質除去用消石灰に比べ、同じ重量あたりの表面積が約1割大きいため、有害物質が除去しやすくなっているそうです。

(※ごみ焼却施設では、焼却炉からの排ガスに含まれる有害な酸性ガス(塩化水素や二酸化硫黄など)を減少させるため、排ガスを通す煙道に消石灰を吹き込んで、酸性ガス成分を吸着させる作業を行っています。)

産業廃棄物処理場のごみ焼却炉で実際にこの消石灰を使用し、有害な酸性ガスの一つ・塩化水素の濃度成分の変化を調べたところ、市販の消石灰だと最大で1/35までの濃度減少だった一方、ライムケーキから作った消石灰では1/65まで減少した、という結果が出たとのことです[2]。
(※[1]では最大1/124となっている。)

ただし研究グループ責任者の方によると、ライムケーキから作る消石灰を商品化するには、まだ改良が必要とのことです。


(参考)
・[1]北海道新聞2008年8月16日(土)朝刊9面記事「製糖工場の産廃から消石灰 高率で有害物質除去」
・[2]製糖工場の産廃から消石灰 高率で有害物質除去(※PDFファイル)
 http://www.hokkaido-iri.go.jp/topics/2008/0901-1.pdf
・「北海道立工業試験場」成果発表会のご案内(※PDFファイル)
 http://www.hokkaido-iri.go.jp/topics/topics-seika_2008.pdf
・北海道立工業試験場
 http://www.hokkaido-iri.go.jp/
・北海道共同石灰株式会社
 http://www.h-kyoudousekkai.co.jp/


ライムケーキの再利用の課題

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てんさい(ビート)の製糖過程で産出される炭酸カルシウム汚泥「ライムケーキ」は、北海道内の工場からは、少なくとも年間約20万トンが排出されているとのこと。

排出された大量のライムケーキのうち、年8万トンは再利用(土壌改良剤など)されず、産業廃棄物として埋め立て処分されているそうです。

現状ではまだ改良が必要とのことですが、有害物質吸着用の消石灰の原料として、ライムケーキを再利用することが可能になれば、産業廃棄物埋め立て処分場の負担を減らすことに寄与できる、と考えられています。


(参考)
・北海道新聞2008年8月16日(土)朝刊9面記事「製糖工場の産廃から消石灰 高率で有害物質除去」


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