高齢ALS患者の皮膚細胞から
iPS細胞を作製

80歳台のALS患者の皮膚細胞から、
iPS細胞(人工多能性幹細胞)を
作成することに成功したとのこと。

高齢ALS患者の皮膚細胞からiPS細胞を作製

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米ハーバード大(ケビン・エッガン博士ら)・コロンビア大の研究チームが、80歳台と高齢のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の皮膚細胞から、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製することに成功したとのこと。

さらに作製したiPS細胞を、試験管の中で運動神経に成長させることにも成功した、とのことです。

※iPS(Induced Pluripotent Stem)細胞は、身体の様々な細胞に分化ができる細胞で、難病患者の細胞からのiPS細胞の作製・他の細胞への分化に成功したのは、今回のハーバード大の研究が初めてだそうです。

この研究では、山中伸弥氏(京都大教授)[1][2]が開発した手法と同様の方法で、82歳の遺伝性ALS患者の皮膚細胞に4つの遺伝子を導入して、iPS細胞を作製。

そしてiPS細胞を培養し、(胚、はい)性幹細胞(ES細胞)で開発された手法を用いることで、運動神経細胞とグリア細胞(脳細胞の一種)[3]に成長させたそうです。

※ただし、ALSで起きる異常の再現は、まだできていないとのこと。

この研究成果は、アメリカの科学誌「サイエンス」の電子版(7月31日付)[4][5]に発表されたとのことです。


(参考資料・サイト)
・北海道新聞2008年8月1日朝刊32面
・ALS患者の細胞からiPS細胞作製、米大学チームが成功 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080801-OYT1T00255.htm
・ALS患者からiPS細胞 米ハーバード大研究チーム作製(産経新聞) - goo ニュース
 http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/m20080801011.html
・iPS細胞:ALS患者から作成 病気解明に期待 - 毎日jp(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/select/world/news/20080801k0000m040120000c.html
・筋萎縮性側索硬化症 - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%8B%E8%90%8E%E7%B8%AE%E6%80%A7%E5%81%B4%E7%B4%A2%E7%A1%AC%E5%8C%96%E7
 %97%87
・[1]ようこそ山中研へ(京都大学サイト内)
 http://www.frontier.kyoto-u.ac.jp/rc02/index-j.html
・[2]山中伸弥 - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%AD%E4%BC%B8%E5%BC%A5
・[3]グリア細胞 - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A2%E7%B4%B0%E8%83%9E
・[4]Induced Pluripotent Stem Cells Generated from Patients with ALS Can Be Differentiated into Motor Neurons
  -- Dimos et al., 10.1126/science.1158799 -- Science(「サイエンス」英語サイト)
 http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/1158799
・[5]今週のハイライト Science Magazine Japan(「サイエンス」日本語サイト)
 http://www.sciencemag.jp/highlights.cgi?_issue=119


研究成果のメリット・可能性

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82歳と高齢なALS患者の皮膚細胞から、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製に成功したとの研究結果に関して、

・iPS細胞が、患者の年齢にほぼ関係無く作製できる可能性が高まった
・これまでは、ALS患者からの運動神経細胞の取得は困難だったが、試験管内で任意にiPS細胞を運動神経細胞に分化させることが可能になり、ALSの原因解明・治療研究の大幅な進展が期待される
・治療を行った細胞を患者の身体に戻すなどの、再生医療の実現にもつながる可能性がある

といったメリットが考えられています。

また今回の研究では、遺伝性ALS患者の細胞からiPS細胞を作製していますが、研究チームでは、ALSの9割以上を占める遺伝性ではないALSの研究にも寄与できる、としているとのことです。

ただし同時に、研究チームは、iPS細胞作成時にガン関連遺伝子を導入しているなど課題が多い、との指摘も行っているそうです[1]。


(参考資料・サイト)
・北海道新聞2008年8月1日朝刊32面
・ALS患者の細胞からiPS細胞作製、米大学チームが成功 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080801-OYT1T00255.htm
・ALS患者からiPS細胞 米ハーバード大研究チーム作製(産経新聞) - goo ニュース
 http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/m20080801011.html
・[1]iPS細胞:ALS患者から作成 病気解明に期待 - 毎日jp(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/select/world/news/20080801k0000m040120000c.html

ALSについて

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ALS(amyotrophic lateral sclerosis)は「筋萎縮性側索硬化症」(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)の意味で、脳から筋肉に指令を送る脊髄(せきずい)の運動神経が徐々に侵され、全身の筋肉が少しづつ動かなくなっていく難病です。

このALSは、9割以上が遺伝性ではないとのこと。

日本の国内では、約7700人のALS患者がいるとされています[1]。

現在のところ、このALSは発症の原因がほとんど解明されておらず、根本的な治療法も発見されていません。

2008年7月に、ハーバード大学などの研究チームが、高齢ALS患者の皮膚細胞からiPS細胞を作製、また運動神経細胞とグリア細胞(脳細胞の一つ)に成長させることに成功した、との研究結果を発表したことで、まだ課題が多いですが、今後ALSの研究が大きく前進することが期待されています。


(参考資料・サイト)
・北海道新聞2008年8月1日朝刊32面
・ALS患者の細胞からiPS細胞作製、米大学チームが成功 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080801-OYT1T00255.htm
・ALS患者からiPS細胞 米ハーバード大研究チーム作製(産経新聞) - goo ニュース
 http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/m20080801011.html
・[1]iPS細胞:ALS患者から作成 病気解明に期待 - 毎日jp(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/select/world/news/20080801k0000m040120000c.html
・筋萎縮性側索硬化症 - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%8B%E8%90%8E%E7%B8%AE%E6%80%A7%E5%81%B4%E7%B4%A2%E7%A1%AC%E5%8C%96%E7
 %97%87
・Induced Pluripotent Stem Cells Generated from Patients with ALS Can Be Differentiated into Motor Neurons
  -- Dimos et al., 10.1126/science.1158799 -- Science(「サイエンス」英語サイト)
 http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/1158799
・今週のハイライト Science Magazine Japan(「サイエンス」日本語サイト)
 http://www.sciencemag.jp/highlights.cgi?_issue=119


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